原油価格は乱高下
そして、この戦争で改めてクローズアップされたのが、原油の95%以上を中東に依存する日本のエネルギー政策の脆弱性だ。

一時はイランによる封鎖の可能性を取り沙汰された「ホルムズ海峡」は、ペルシャ湾の入口にあり、最狭幅は約34km。ただ20万t以上の大きなタンカーが通過できるのはわずか3km程で、日本の石油タンカーの80%がここを通過している。
エネルギー安全保障が専門の小山堅さんも戦闘中“ホルムズ海峡の変化”をずっと注視していたと話す。

『日本エネルギー経済研究所』小山 堅 首席研究員:
「もし本当にホルムズ海峡の通行を遮断し、石油の供給に大きな支障を及ぼすようなことになれば、アメリカの本格的な介入を招く直接の原因になるので、合理的に考えるとそれはなかなか起こりにくい。ただホルムズ海峡の完全な遮断ではなくても、イランはそういう遮断できる能力を持っている。これから先もイランの能力と意志を示すという面においては危機的状況は起こるだろう」
イスラエルの先制攻撃が始まった13日、ニューヨーク原油市場では原油価格の国際的な指標であるWTIの先物価格が前日から一時14%以上急騰。
さらにアメリカがイランを攻撃した翌日の日本時間23日には1バレルあたり78ドル台をつけた。

そして、トランプ氏が停戦合意の成立をSNSに投稿した24日午前には13%下落し、1バレル64ドル前半と落ち着きを取り戻した。
小山さん:
「アメリカの攻撃が平日、市場の取引中に行われていれば多分価格は大幅に上がったと思う。ただ、今回週末に米軍の攻撃が行われたので石油市場の取引関係者は『これから先どうなる』と週明けて取引が始まるまでじっくり考える時間が与えられた。結果として最終的に抑制的なイランの報復攻撃で、その直後にイスラエル・イランの停戦合意が発表される流れの中で一気に上昇していた分が全て剥落した」