交渉が難航するトランプ関税。相互関税10%に…という相場観も出ているが、果たして何%なら日本の企業は持ちこたえられるのか?
「さらに進展」も一致点はまだ
日本時間の7日朝、5回目の日米関税交渉に臨んだ赤沢亮正経済再生担当大臣。
ベッセント財務長官とは45分、ラトニック商務長官とは110分の協議を行った。

「5回の訪米を通じて信頼関係もできていると思う」と話した赤沢大臣だが、協議の進展について聞かれると…
赤沢大臣(協議後、日本時間7日朝):
「合意の実現に向けた議論がさらに進展したといえると考えているが、“一致点を見出せたかと言えば見出せていない”」
自動車関税の主たる所管であるラトニック商務長官とは、2日連続で110分という長い協議となったが、ワシントン支局の守川雄一郎記者は「依然として両国の隔たりは大きい」と話す。

守川記者:
「日米両国とも自動車が最重要の課題の一つだと認めている。アメリカにとっては最も問題視している貿易赤字の象徴的なものでもあり、日本にとっては基幹産業である自動車産業は最も守らなければいけないもの。それだけに両国の隔たりは簡単に超えられるものではなく、協議がなかなか進んでいない」
日本としては、輸出だけでなくアメリカ現地でも多くの自動車を作り貢献している。それなのに関税をかけるのはおかしい、という論理だが調整は難航しているようだ。

【米国での日本車の新車販売台数】
2024年:588万2438台(自動車メーカー6社の販売実績より)
▼アメリカでの現地生産⇒328万356台(日本自動車工業会より)
▼日本からの輸出⇒136万9063台(〃)
「米中協議」始まる一方で日本は?
また、今後の交渉スケジュールについて赤沢大臣は「国益を守りながら“ゆっくり急ぐ”」とし、G7サミット(15日~)まで協議が続くこともありえると話している。
ワシントン支局・守川記者:
「前回の4回目の協議後にはサミット前にもう一度閣僚協議を開くことで一致していた。ただ今回は次回の協議をサミット前に開くところまで一致できていない。その背景にあるのがアメリカ側の中国との関税協議」

5日、アメリカのトランプ大統領と中国の習近平国家主席が電話で会談した。
トランプ大統領(5日):
「良い対話ができた。とても複雑な問題について整理することができた」
米中関係をめぐっては、アメリカの高関税政策への対抗措置として中国がレアアースの輸出を規制。世界で影響が出始めている。
▼米『フォード・モーター』⇒中国のレアアースの輸出承認手続きの遅れにより「部品の輸送が滞る」ケースが発生
▼独『BMW』⇒供給網の一部で輸出規制の影響が出ている
(ブルームバーグ通信より)
これまでアメリカ側は、中国がレアアースの輸出規制を続けていることを批判していたが、トランプ氏はSNSで<レアアースに関する疑問はもうないはずだ>と発信。何らかの進展があったことを示唆した。
さらに、トランプ氏は6日、SNSで貿易問題をめぐる【中国との閣僚級の協議を9日に英・ロンドンで開く】と発表。
アメリカ側からはベッセント財務長官・ラトニック商務長官・グリア通商代表が出席するとしている。
ワシントン支局・守川記者:
「日本が次回の協議について一致できない背景として、アメリカが9日に中国と関税協議を行うなど日程的にかなりタイトということがある。日本の優先順位が下がっているとも言えるので、<サミットまでのタイムスケジュール><大きな壁がある自動車>、その二つの面でも難しい状況が続いている」