「賃金と物価の好循環」は幻に?

ーー<賃金と物価の好循環>というが、現に今実現できていない。さらにトランプ関税の影響が出てくるとなれば、賃金と物価の好循環は幻想に終わってしまうのでは

【4月】※速報値
▼名目賃金:前年同月比「2.3%」
▼実質賃金:同「-1.8%」⇒【4か月連続でマイナス】
(厚生労働省「毎月勤労統計調査」より)

『第一生命経済研究所』首席エコノミスト・熊野さん:
「賃金は上がっているが物価が上がりすぎている。日銀は2%と言っているが、実質賃金を計算する前提となる物価は4%。これはちょっとあり得ない。日銀が物価を安定させるという使命を果たし<利上げで円高>にすればいいのだが、トランプ関税がある今、利上げをすると企業収益自体がポキッと腰折れしてしまう。企業収益を重視するのか、利上げして物価安定に舵を切るのか。日銀はジレンマに苦しんでいると思う」

アメリカが「利下げ」できるかどうか

もう1つの問題は【アメリカのインフレリスク】だ。

ーーアメリカがインフレになると利下げできなくなり景気が悪くなると

熊野さん:
「アメリカ経済が良くなるためにFRBが利下げできるかどうか。トランプ関税で物価が上がると、FRBは動けなくなる。そこが懸念材料。
アメリカ経済が成長すれば、日本の企業は輸出拡大によりトランプ関税の負担は和らぐと考えている」

(BS-TBS『Bizスクエア』 2025年6月7日放送より)