波紋を呼んだ日本の政治家の「ある発言」

ここで注目したいのが、自民党の西田昌司参院議員による沖縄の「ひめゆりの塔」の展示説明に関する発言です。西田議員は5月3日、沖縄戦で犠牲となった女子生徒らを慰霊する「ひめゆりの塔」の説明について「歴史の書き換えだ」と主張し、物議を醸しました。

西田議員は、「『日本軍がどんどん入ってきてひめゆり隊が死ぬことになり、アメリカが入ってきて沖縄が解放された』という文脈で説明文が書かれてある。歴史を書き換えると、こういうことになってしまう」と発言しました。

しかし、ひめゆり平和祈念資料館は、「過去も現在も、西田議員の指摘したような展示はない」と否定しています。西田議員は当初、発言の撤回を否定しましたが、9日になって撤回し、謝罪しました。

中露共同声明が示唆する日本の立場

この西田議員の発言と中露関係には、看過できない関連性があります。中露首脳会談後、両国は関係をさらに深める内容の共同声明を発表しました。その冒頭には「中国人民の抗日戦争、そしてソビエト連邦の大祖国戦争の勝利、また国連創立80周年を記念して」と記されています。

共同声明の中には、次のような文言が含まれていました。「中国とロシアは、第二次大戦の勝利の成果を断固として擁護し、第二次大戦の歴史を改ざんしようとする、いかなる試みも断固として粉砕する」。さらに、「日本政府は歴史上犯した残虐行為から教訓を得て、靖国神社など歴史問題に関する言動を慎み、軍国主義と完全に関係を絶つべきだ、と中国とロシア双方は指摘した」と、日本を名指しで批判する内容も盛り込まれています。

戦後80年という節目の年に、中露両国は共同で第二次大戦の歴史を強調し、歴史認識問題で連携を強める姿勢を鮮明にしています。習近平主席は9月3日に北京で予定されている抗日戦争勝利80年の記念式典にプーチン大統領を招待しており、両国は歴史を共通の外交カードとして利用する意図が見て取れます。