「一人暮らしだけど一人じゃない」

映画は、雑草をむしったり、いりこの味噌汁を作ったりと、100歳を超えた哲代さんの普段の暮らしを丁寧に映し出します。家の前の坂道を後ろ向きに降りる姿からは、転ばないように工夫する知恵が垣間見えます。この哲代さんの日常は、地元の中国新聞社で連載され、書籍化したものは20万部を超えるベストセラーとなっています。
※石井哲代・中国新聞社著、文藝春秋刊『102歳、一人暮らし。哲代おばあちゃんの心も体もさびない生き方』(2023年)、『103歳、名言だらけ。なーんちゃって』(2024年)
歌うことも大好きな哲代さんは、映画の中で大正琴を弾きながら自作の歌を披露します。
♪備後尾道中野へ寄って聴いてお帰り大正琴の…♪
『中野ソング』(作詞:応地実雄、作曲:石井哲代)
「中野」は哲代さんが住む地域名。ご当地ソングを作ってしまうほど、豊かな感性を持っています。

哲代さんは、「ありがとう、ありがとう」と感謝の言葉を常に口にし、できることは自分でしようとします。体調を崩した際には入院したり、姪の家に身を寄せたりしますが、回復するとまた一人暮らしに戻ります。

その日記には「一人暮らしだけど一人じゃない」と綴られており、周囲との温かいつながりを感じさせます。