実は後れている日本の木造建築 「大屋根リング」が前進させるきっかけに?
五十嵐教授は大屋根リングについて、建築の世界ではとても意義深いものだと言います。なぜかというと、日本の木造建築は伝統的ものは最先端ですが、現代的な建築では後れているからとのこと。
世界には大型の木造建築が複数あります。例えば…
■スイス:腕時計で有名な「スウォッチ」本社 長さ240m・高さ27m
■カナダ:大学の寮 18階建て・高さ58.5m
■ノルウェー:複合施設 18階建て・高さ85.4m
なぜ、木造建築で日本は後れをとっているのか?その主な理由は『耐震』と『耐火』を考慮した安全性重視の厳しい規制があるため。新たな木造建築を建てようとチャレンジしづらいのが現状ですが、“少し慎重になりすぎではないか”と専門家は指摘しています。
一方で、今回の大屋根リングは万博という国家プロジェクトで、大胆な計画・資金に加えて日本の名だたる建設会社が集まり完成。そのため今後の日本の木造建築を前進させるものだと専門家らは分析しています。
東北大学大学院の五十嵐教授は「見たことのない大きさを体感」「日本での大型木造建築が今後できる機運」、千葉工業大学の多田脩二教授は「日本の高い技術力を世界に発信できた」としています。
海外から入ってきた技術によって、それまでの日本の建築がガラッと変わったことは過去にもあります。それは「東大寺南大門」。大屋根リングの建築がもたらした意義は東大寺南大門と同じだと専門家は言及しています。