アメリカのトランプ政権が貿易赤字の縮小を目指して高関税政策を続けるなか行われた日米の財務相会談。「ドル高是正」の要求はなかったが、加藤大臣の発言から読み解く日米の一致点とは。

約50分間で何が話し合われた?

トランプ大統領(23日):
「日本は円安を目指して戦ってきた」

ドル高の是正を一貫して主張しているトランプ大統領。

24日に行われた加藤勝信財務大臣とベッセント財務⻑官の会談では、為替を巡りどのようなやり取りが行われるか注目されたが、約50分間の会談の中で具体的なドル・円相場の水準などの話はなかったという。

加藤財務大臣:
「アメリカから為替の水準や目標、管理する枠組みといった話はまったくなかった

そのうえで、
▼「為替レートは市場で決定される」
▼「過度な変動は経済に悪影響を与える」という認識を両国が再確認したとのこと。

具体的なやりとりの中身についてはコメントを避けたものの、つまりは
【為替目標・管理の要求なし】⇒円高誘導のようなことは、とりあえずやらない
【為替相場は市場で決定と再確認】⇒現状の“緩やかな是正”で良い
という認識で一致したということだ。

さらに、加藤大臣の発言には注目点もある。

加藤財務大臣:
「現在進行中の日米の貿易交渉に関連しては、為替に関して引き続き緊密かつ建設的に協議を続けていくことで一致した」

▼「日米の貿易交渉に関連」⇒通常、為替の話に「貿易交渉」は関連付けない
▼「建設的」⇒為替に関する声明には馴染まない言葉

これらの点から何が読み解けるのか?為替ストラテジストの花生さんに聞いた。

『バルタリサーチ』社長 花生浩介さん:
「為替の立場からすれば、もう日本政府は通貨安政策をとってないが、それで終わりではなく『これからそのパフォーマンスについてレビューしていきますよ』ということ。それを貿易交渉に繋げるのは非常に難しいが、できればアメリカの貿易赤字を減らしたいと。それと為替が整合的であるということはやはり強調していると思う」

つまり、アメリカの貿易赤字削減の目的を踏まえ為替について協議をしていくが「建設的」=弊害が出ないような形で進めていくということだという。