「放射能調査中」海保船には物々しい表示

湾内には海上保安庁の見慣れない船の姿があった。船に搭載された大きなパネルには「放射能調査中、航行を妨げないでください」と表示されていた。この船は第3管区海上保安本部の放射能調査艇「きぬがさ」だ。原子力空母が配備された横須賀を管轄する“第3管区ならでは”の船で、空気中や水中の放射線量を調査していた。

マシンガン武装の米兵 右手はトリガー付近に

私たちは放射性廃棄物の搬出の様子を取材するため、ジョージ・ワシントンから約1.5キロ離れた安針台公園から望遠レンズを構えた。

午前8時すぎ、空母の甲板ではヘルメットを被った約20人の作業員が仕事を始めた。セーラー服を着た兵士の集団が作業員の脇を歩いていた。

レンズを艦首に向けるとマシンガンを所持した完全武装の兵士が1人立っていた。兵士の右手はマシンガンの引き金(トリガー)付近に添えられていた。

武装した兵士は放射性廃棄物の奪取などを警戒しているのだろうか。自衛隊の基地や駐屯地では、マシンガンを構えた兵士が警備に当たる様子はほとんど見ない。そこが日本にありながら、日本の法規が及ばないアメリカ軍の基地であることを物語っていた。

横須賀市が在日アメリカ軍から受けた連絡によると、搬出されるのは定期修理で生じた雑巾、プラスチックシートや作業用の手袋などの「低レベル」の放射性廃棄物だという。

また、「コンテナ付近の放射線量は周辺環境の通常の放射線量(バックグラウンド値)未満だった」と伝えたという。
一方、「低レベル」とされる放射線量について具体的な数値は伝達されず、伝達された内容通りの物が梱包されているのか、証明する写真や動画などは提供されていない。あくまでも口頭の連絡に留まっている。