九州は「まるっと当事者ですよ」
ドキュメンタリー映画『戦雲(いくさふむ)』を撮った映画監督・三上智恵さんの講演会が1年前の4月、福岡県柳川市でありました(「いくさふむ」は石垣島の方言)。『戦雲』は、2016年から「南西シフト」が急激に強化され、島にミサイルが配備されていく過程を赤裸々に描いたドキュメンタリーです。
7年間をまとめて見ると、その移り変わりが分かりました。テレビでも地元では放送しているかもしれませんが、全国放送でこうやってまとめたことはあまりないのではないでしょうか。仮にあったとしても、見逃していたら見ていないことになります。
映画を観て、現状がこうなっているんだと知ってびっくりしました。その時、三上さんから「もう実は、九州はまるっと当事者ですよ。沖縄だけじゃないんですよ」と言われました。それが非常に印象に残っていました。

今回行った集会、主催者発表で参加者は1300人でしたが、「そんなにはいないんじゃないかな」と思いました。沖縄・南西諸島の方々はメッセージを寄せました。でも、小雨がぱらつき、ぬかるんだグラウンドに、それなりの人数が集まって声を上げました。
地元の北九州空港について、報告がありました。
辺野古土砂ストップ 北九州・事務局長 八記久美子さん
「北九州空港は昨年4月に、特定利用空港に指定されました。10月に日米共同訓練が、自衛隊と米軍など合計4万5000人で行われ、北九州空港でも初めて軍事訓練が行われました。米軍岩国基地所属の対潜哨戒機に、自衛隊機が給油を行うという訓練が行われていて、空港にはたくさんの人がいました。日常の横に、戦争がある。まさに現在を象徴する状況だったと思います。北九州空港の2500メートルの滑走路を、3000メートルに延長し、補強する工事は1年以上前から始まっています。延長されれば、米軍のどんな飛行機も、北九州空港を利用できるようになります。」
各県の情報をまとめ初めて分かること

北九州空港滑走路延長のニュースは放送されていますが、「どんな米軍機も」というのは、なるほどなと思いました。福岡・佐賀をエリアとする私たちRKBも、佐賀にオスプレイが配備される計画は報道していますが、他の県のことはよく分かりません。
スタジオに持ってきたのは、月刊誌『地平』です。私が信用している人も編集者で参加しているので、私は去年1月の発刊から毎月購読しています。実は『地平』は4月号で、「軍事化される西日本」という特集を組んでいます。
特集を読んでいたら、私たちRKBの仲間、大阪の毎日放送(MBS)の記者で、友人の亘(わたり)佐和子さんが記事を書いていました。京都南部にある祝園(ほうその)分屯地で、自衛隊が102億円をかけて火薬庫を8棟増設することに驚き、取材した中身が書いてありました。
祝園分屯地は、関西文化学術研究都市の中央部にあり、半径10キロ圏内には奈良市や大阪府枚方市などの人口密集地があります。「敵基地を直接攻撃できる長距離ミサイルが来るのか」「有事の際に標的になるのでは」と不安の声が上がり始め、亘さんは2025年2月にMBSラジオ報道特別番組『ミサイル弾薬庫がやってくる』を制作、関西で放送しています。
亘さんが「軍事化される西日本」という特集に、京都のことを書いています。つまり、南西シフトに伴って、後背地として九州の防衛力が整備されていくだけではなく、京都なども入っているのです。特定利用港湾には、四国にある港も加わっています。確かに、焦点は西日本なのだと、読んで知りました。