トランプ大統領の思惑や狙いは?
井上キャスター:
世界の先陣を切って日本が交渉のテーブルに立ったことは世界中が注目しています。一つのひな形を作るために、トランプ大統領もある程度急いでいるとも感じましたが、樫元さんは今回の会談をどのようにみていますか?

JNNワシントン支局長 樫元照幸さん:
今回まさに世界が注目する交渉だったと思いますが、いくつか見えてきたことがありました。
トランプ大統領は、やはりSNSで発信をして、「まずアメリカが主導権を握るんだ」ということを強くアピールし、強気に出ると外にアピールした形でしたが、実際に会談が始まると「割と温和な感じだった」と赤沢大臣も話していました。
どちらかというと、これは政治的なパフォーマンス、つまり「関税によってこんなことが起きてるんだ」、「日本がわざわざやってきて、成果を生むために交渉が始まったんだ」と強くアピールするというような思惑もあったと思います。
実際に会談結果を発表するということに関してアメリカ政府関係者に取材をしたところ、ホワイトハウスに一本化すると。
しかも、トゥルース・ソーシャルというトランプ大統領のSNSに一本化するということで、何が出てくるのか、どんな発表があるのかと注目をしていたら、笑顔のツーショット写真とともに「大きな進展があった」というふうに書き込んで発信をしたということです。
実際は、そんなに大きな進展という段階にはまだ来ていないと思います。ただ、トランプ大統領としては「大きな進展をした」ということを発信したいということで、関税の力などをアピールしたいということだと思います。
実際には、トランプ大統領が圧力をかけることで交渉を早く進めたいといった思惑も今回の会談からは感じ取れました。
出水麻衣キャスター:
今回のSNSでの発信を受けて、アメリカメディアはどんなふうに報じていますか。
樫元照幸さん:
こちらの時間で言うと、朝一に「私も出席する」という発信をしました。実はマーケットが開く前の時間だったので、この交渉は注目されていて、日中は結構、報道されていました。
ところが、夕方に会談が始まって以降、関連のニュースはほとんど取り上げられていないという感じです。
トランプ大統領の政治的なパフォーマンスの発信であるというところは、やはり大手メディアも見抜いているので、実務的なものが進んでいく、成果が出ていくのはまだ先だと冷静に見ているんだというふうに思います。

井上キャスター:
今回の会談内容は出てきていませんが、一致した部分としては、▼可能な限り早期に合意し、首脳間での発表を目指す、▼今月中に次回協議を実施すべく日程調整、▼閣僚・事務レベルで協議継続していくということです。
1回目の会談としてはかなり踏み込んだものになっているので、評価できるものになったのではないか、というふうに報じられているわけです。
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〈プロフィール〉
樫元 照幸
JNNワシントン支局長
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