芳根京子と広瀬すずの「上手さ」
影山 「まどか26歳、研修医やってます!」(TBS)。内科、外科など各科を回るのがリズミカルでうまくて、芸達者もいて、若手もいてというチームワークがよかったです。
田幸 どんどんおもしろくなっていきましたね。いろんな科を1話1科ずつめぐる物語の運びもよかったですし、取材をきちんとしたうえで、研修医ならではの悩みをしっかり描いていました。
やっぱり芳根京子さんがすごくいいんですよ。他の人では、この軽やかさは出ない。誠実でありながら軽やかというのを演じるのが非常にうまい。芳根さんは、難しいことをやっている感を出さずに、さらりとできちゃう役者さんだと、改めて感じました。
倉田 「クジャクのダンス、誰が見た?」(TBS)は、過去の冤罪事件から現代につながる殺人事件が起きたり、広瀬すずさん演じる主人公の出生の秘密などが絡み合うことで、次の回に向けてすごく引っ張られました。次はどうなるんだろうと、毎回そういう見方ができるドラマでした。
田幸 広瀬すずさんはまだまだ過小評価されていると思いますね。本当にスターで、お芝居もすごくいいのに、おそらく華があり過ぎるせいで、演技そのものに対する世間的な評価が、ちゃんとされていない気がします。この作品を見ても、やっぱり特別な存在だと思いました。
影山 「119エマージェンシーコール」(フジ)は、回を重ねるごとによくなっていった印象です。清野菜名さんを初め、瀬戸康史君たち119通報に対応する面々もよかった。佐藤浩市さんがビシッと押さえていましたし、見応えがありました。
清野さんの姉(蓮佛美沙子)が過去のつらい記憶を抱えているんですが、その心の傷も丁寧に描かれていましたし、家族愛的なところもありました。さらに言えば、基本的に密室劇なので、間延びしそうなんですが、テンポがとてもよかったです。さまざまなエピソードの入れ方がうまかったですね。
田幸 いたずら電話の悪質さを描いた回がよかったです。どこかドキュメンタリー的なテイストも感じました。
何だかよく分からないのに、なぜかずっと見てしまう
田幸 あと、何をやっているのかよくわからなくて、ずっとおもしろかったのが「問題物件」(フジ)です。
影山 そうそう。いいのを言ってくださった。
田幸 全然説明がなくて「上川(隆也)さん、犬って何?」とわからないけれども、おかしくてしようがなくて、ずっと見てしまいました。1話見逃したら困るかというと、全然困らないんですけど、見るとちょっとずつ確実におもしろいというすごく変なドラマで、大好きでした。
影山 僕も気がつけば、何かずっと見ていました。
田幸 すごく変でした。
影山 変でしたね。隠れた人気ドラマですね。
倉田 ちょっとふざけた感じで、上川隆也さんは本当に「何」なんだろうか。嗅覚のよさと犬への惜しみない愛を漏らしていて、本人も犬なのか?みたいな(笑)。でも、犬なのかどうかよくわからないまま、どんどん進んでいくので、ずっと気になっていました。
エピソードは本当に他愛もなくて、そう言ってしまったら失礼なんですが、見逃しても何の支障もないんですけど。
影山 褒めているんだから、ディスっているんだからわからへん(笑)。
倉田 でも、見ちゃう。必ず毎週録画で見逃さないようにしていました。基本的には「御上先生」のような重厚なドラマが好きなんですけれど、一方こういうよくわからない軽く見られるドラマも私は求めているんだなと感じました。