オウム真理教による地下鉄サリン事件から30年。事件直後、教祖を狙撃するという自衛隊の極秘作戦が検討されていたことがわかりました。一方、サリンで重い後遺症を負い、25年の闘病の末、亡くなった女性が伝えたかった思いとは。
陸自連隊長「みんな死にに行くんだ」という気持ち

陸上自衛隊大宮駐屯地。第32普通科連隊、中央特殊武器防護隊、化学学校があり、日本の生物・化学部隊の“拠点”になっている。極秘の研究棟には限られた研究員しか出入りできない。
ここにサリン、VXガスなど猛毒を製造できる部隊が存在する事は、殆ど知られていない。30年前、その存在が明らかになる事件が起きた。

首都中枢を走る地下鉄にサリンが撒かれ14人が死亡、6300人以上が重軽傷を負った無差別テロだ。
地下鉄の駅構内で無色、無臭の敵と闘ったのは第32普通科連隊だった。現場に向かう隊員に連隊長が指示している。

陸上自衛隊第32普通科連隊 福山隆 連隊長(当時)
「相手は猛毒のサリンである。軽々に中(地下鉄の車輌)に入ったりすることのないように」
“見えない敵”と対峙する緊張感に覆われていた。

陸上自衛隊第32普通科連隊 福山隆 連隊長(当時)
「地下鉄に入っていく時は、地獄の底に入っていくような気がした。吸い込まれるような気がした。『みんな死にに行くんだ』という、半分はそういう気持ちを持っていた」
除染作業に当たった隊員
「昼間なのに誰もいない。静かな、しーんとした駅の構内というのは、今思い出しても、不気味な感じがします」
除染作業に当たった隊員
「経験したことのない空間、異次元的な空間。私たちしかいないというのは緊張感があった」