化学兵器テロ その対策は今…

地下鉄サリン事件から15年。これは陸上自衛隊大宮駐屯地に、初めて報道特集のカメラが入った時の映像だ。

除染にあたった“小隊”は大幅に増員され中央特殊武器防護隊に。演習場で行われていた訓練は、市街地で化学兵器のテロが起きたことを想定するものに変わった。

応急措置で最優先が“洗浄”だ。訓練は警察や消防と連携して人が集まるスタジアムなどで頻繁に行われるようになっていた。

事件当時は不足していた防護服やマスクが、大量にストックされていた。

――(防護服やマスクの)風通しが悪いんですけど?

隊員
「悪いです。通ったら(毒物を吸入することになり)意味が無い」

そして現在、核(Nuclear)、生物(Biological)、化学(Chemical)など大量破壊兵器に対しての切り札であるNBC偵察車。瞬時に化学物質を判別し、風向や気温によって変化する汚染範囲を特定する。

この日はサリン散布を想定した訓練が行われた。撮影は許可されなかったが、車内は完全に密封状態だ。中にいる4人の隊員は防護服を着用していない。厳しい汚染区域でも活動が可能だ。

撒かれた物質を直ちに“サリン”と判別し、除染車が出動してきた。除染剤の水酸化ナトリウムで中和させていく。

――知らない薬物とかあると不安では?
隊員

「不安ですね。でもこの防護衣を着て活動するのであれば、不安なく活動できる。現場の状況がニュースで出たら、ここで(化学兵器が)使われたのかな、と考える」

装備が強化されてもテロを防ぐのは至難の業だ。

防衛省 化学学校幹部
「換気して、猛毒を地上に出せば被害が拡散してしまいます。地下鉄にサリンなんて酷い事を考え付いたものです。“全くの死角”です」