選挙で起きた「ニュースの空白」

兵庫県知事選挙時にYahoo!ニュースにどのような記事が配信されているのかを調査した(注3)。選挙関連の記事は、告示日の10月31日から投開票日前日の11月16日に127本あった。最も記事数が多かったのは告示日の18本、次は11月15日の17本、翌16日が15本だった。

キーワードや配信期間の関係で収集できなかった記事があったことに留意する必要があるが、約7,500本の配信数に対し、選挙関連の記事は17日間で127本しかない。

条件が異なるため単純に比較はできないが、能登半島地震に関連する調査では1週間で約1,000本の記事をYahoo!ニュースから収集しており、全国から注目される選挙にもかかわらず記事が非常に少なく、「ニュースの空白」が起きていたといえる。

配信媒体は35あり、前述したように多様な媒体から選挙関連の記事が配信されていた。最も記事数が多かったのは、日本テレビ系列の読売テレビで15本、次に通信社の共同通信とネットメディアのよろず~ニュースがそれぞれ10本と続いた。

テレビ局は、MBSニュースとABCニュースが2本、フジテレビ系列のFNNプライムオンラインの1本は関西テレビによるものであった。読売テレビは出馬した全候補者を取り上げており、その配信も届け出順に1分ごとに行うなど工夫している様子が伺えた。地元メディアとしては、ラジオ関西が4本、丹波新聞が8本、デイリースポーツが3本、神戸新聞が3本だった。

調査ではコメントが多い記事も確認した。コメント欄が盛り上がると上位に表示されるため読者の目に触れやすくなる。コメント数が多い記事は、週刊誌、夕刊紙、ネットメディアにより配信されており、選挙戦の混乱といった騒動を取り上げたものが多く、候補者の公約や実績を紹介したものは少なかった。

ポータルサイトは日本全体のニュースを扱う全国紙やキー局のような存在でもあり、多様な媒体から様々な記事が配信されており、有権者が投票のためにニュースを見ようとしても、参考になる記事に接触することが難しい状況にある。