「震災を乗り越えたテープ」に残る思い出

福島・田村市の『カメラのカタソネ』ふねひきパーク店に持ち込まれたのは、“震災を乗り越えたテープ”です。

「震災があったりして、ビデオテープがほとんど散在してしまった」と話す80代の男性が、デジタル化を依頼しました。
中には、1987年に撮影された映像が残されているといいます。

男性(80代):
「地元の青年たちが集まって、明治時代の自由民権運動の演劇をした。たまたま見つかったのでダビングしておこうと」

福島市内の『カメラのキタムラ』福島店にも、震災を乗り越えたテープがありました。
70代の女性が「主人が亡くなっちゃったので、思い出を振り返ろうかなと思って」と持ち込んだのは、1995年に撮影されたもの。
家族で白鳥を見に行った時の想い出を、少しだけ見せてもらうと…

女性(70代):
「あ、お父さんいた。30年前だ…若い。仕事一筋っていうかね、誰にでも優しかったのかな。デジタル化が先延ばしになっちゃって、お父さんに見せてあげられなかった。うちに帰ってゆっくり見たいです」

震災で延期になった「卒園式」

まりこさん(50代・女性)が持ち込んだのは、2004年に長男が誕生した時のテープなど。出産に32時間かかったとのことで、「一番思い出深い」と話します。

映像には、「ママは本当に我慢強いね」と助産師さんに声をかけられ、まりこさんの横で眠る産まれたばかりの長男。
他にも、家族で初めて温泉旅行に行った時の想い出が収められていました。

そして、次に映し出されたのが、2011年の卒園式。

震災で延期になり、開催されたのは、すでに小学生になった4月だったといいます。

まりこさん:
「卒園式をするにも会場が使えなかったり、できるかどうかもわからないような状況で。大変な中でもみんな集まってという感じで。長男が今年成人になったけど、映像を見て久しぶりに思い出したというか、色々と思う部分はありました。こんな機会をもらえて良かったなと思っています」

東日本大震災から14年。震災を乗り越えたビデオテープには、数多くの、忘れたくない思い出が残されていました。

(THE TIME,2025年3月11日放送より)