さまざまな業界が連携するプラットフォーム
点字新聞を発行する毎日新聞社は今年1月に「ビジョン・コンソーシアム」を設立し、先週その設立記念シンポジウムが開かれました。
ビジョン・コンソーシアムは、視覚障害者と晴眼者(目の見える人)を隔てている社会の在り方をよりインクルーシブ(包括的)な方向に変えていくために、多くの企業や団体が連携して活動するプラットフォームです。
知見やノウハウを共有するとともに、視覚障害者と一緒に楽しみながら体験できる多彩なコンテンツを用意し、学校や企業で出前授業やイベントを行うとしています。
アドバイザーとして参加している視覚障害者で、ブラインド・コミュニケーターの石井健介さんに聴きました。
ブラインド・コミュニケーターの石井健介さん
「みんなで一緒にホームパーティーをやればいいんだと。いろんな人が来るよ、みんなが楽しめる方法を考えようよ。だから幹事がいると飲み会って成立するじゃないですか。そこで旗を振ってくれている毎日新聞社があって、そこでみんな自分たちができることを持ち寄って集まってみんなで楽しいパーティーを開く。そこにたくさんの人たちが『うわぁ楽しそう、面白そう』って来たら何か気づくことがあって、社会に戻っていって、その社会がちょっとずつ良くなっていく。そこから『あっなんか面白い世界があるぞ。もっと学んでみよう』で点字を学ぶ人がいたりとか、ガイドヘルパーの資格を取ってみようって僕の友人にもたくさんいますけど、なんかその入り口ができるだけ敷居が低いほうがいいですよね」

ビジョン・コンソーシアムにはTBSホールディングスもメディア・パートナーとして参加していて、シンポジウムでは石井さんが携わったSDGsのイベント「地球を笑顔にする広場」での子ども向けワークショップや、TBSポッドキャストの番組「見えないわたしの、聞けば見えてくるラジオ」の取り組みなどが紹介されました。
さらに、ビジョン・コンソーシアムに参加する企業から知見の共有もありました。
味の素からはマーケティングデザインセンターの向井育子さんが登壇し、調味料の容器のキャップのユニバーサルデザインについて説明しました。
味の素 マーケティングデザインセンターの向井育子さん
「随分前に『ユニバーサルデザイン』という言葉が流行った時に、シャンプーボトルにも凸凹が入ったりした時期ですね。全てのものが使いやすくなるといいよねってことで、パッケージデザインを作っていたんですけれども、その時だけ盛り上がるんですね。
そのブームが去ってしまうと、いつの間にか普通のパッケージになってしまう。
1つ例を紹介すると『ほんだし』と『コンソメ』と『丸鶏ガラスープ』の瓶は、全部同じ形だったんです。
でも発売する時期が違ったので、握りやすくするための凸凹の幅が3つ違ってたんですよ。それをコストダウンで全部一緒にした時期があって、そうすると『あれが違ってたから、後天的に目が見えなくなった方もすごい分かりやすかったのに』っていう話を聞いて、また直したんです。
そこから時間が経ったらですね、また同じになっちゃってるんですね。
なので、会社の中でどういうふうに持続させていくのか、すごい難しいなって思ってるところです」

味の素では、視覚障害があっても料理が楽しめるよう、音声読み上げ機能に特化したレシピサイト「音でみるレシピ SOUNDFUL RECIPE」を公開しています。