ドラマの内容と視聴率にはどのような関係があるのだろうか。芸術性、娯楽性とのかかわりは?長年にわたってテレビドラマをウォッチしてきた放送コラムニスト・高堀冬彦氏が考察する。

視聴率とドラマの質

視聴率とドラマの質が無関係なのは誰もが知ること。2020年3月まで主流だった世帯視聴率はその番組を観ていた世帯の割合が分かるだけ。それ以降の中心である個人視聴率も番組を観ていた人の数が把握できるに過ぎない。

昭和中期から平成中期のドラマ界を代表する脚本家だった山田太一さんは生前、「僕は視聴率が取れる作家ではありませんから」と笑っていた。もちろん自分の作品に自信がなかったわけではない。山田さんも視聴率とドラマの質が無縁であることを十分知っていたのである。