選挙「無効」に、ルーマニア人は意外な反応
選挙がやり直されることについて、ルーマニア人に話を聞くと意外な答えが返ってきた。
「選挙をやり直しても、もしかしたらジョルジェスク氏が勝つかもしれない。正直、投票したい人が誰もいない」
「ジョルジェスク氏の主張は過激だが、動画での演説は饒舌で引き込まれてしまう」
ルーマニアは貧困の危機にさらされている人口の割合が、EU加盟国の中で最も高い国で、平均収入もEU圏内では低く、物価上昇への対応などが大統領選の争点の一つでもあった。
今回の機密文書には、投票データ自体が改ざんされたとは書かれていない。つまり、投票直前にSNSでの動画などに影響された人がいたとはいえ、多くの有権者がジョルジェスク氏に一票を投じたのは紛れもない事実だ。既存政党や政権への不信感が投票行動につながったともいえる。ジョルジェスク氏は今回の選挙結果の無効について、民主主義を攻撃するクーデターだと主張している。
次のやり直し大統領選挙は5月に1回目の投票が行われることになっているが、最近のルーマニアのテレビ番組で、地元の市長が最新の世論調査の結果として、ジョルジェスク氏が40%近い支持を得ているなどとデータを披露している。次の選挙に立候補できるかは不透明だが、同じ結果になるのではないかと報じる地元メディアもあり、予断を許さない状況は続いている。