欧州各国に衝撃を与えた“SNSによる選挙戦”

今回のルーマニア大統領選の投票結果はヨーロッパ各国に衝撃を与えたといえる。

ルーマニア大統領選の1か月前に実施されたモルドバの大統領選挙でもSNSによる「大がかりな選挙運動」があったとされていて、ロシアの介入が指摘されている。

結果的に親ロシア派の候補は敗れはしたが、モルドバ当局はおよそ60億円が有権者にばらまかれたと発表している。

ルーマニアとモルドバは、ウクライナと国境を接する支援国で、仮に親ロシア派が政権を握るとEU全体としてのウクライナ支援の枠組みが揺らぐ事態に発展する恐れがあった。

周辺国をみると、ルーマニアの隣国ハンガリーは右派政権でウクライナへの軍事支援には反対、スロバキアも親ロシア派の首相だ。

今回の選挙でロシアの介入があったとするなら、ハイブリット攻撃の一環だったのかもしれない。

ルーマニア大統領選を巡っては、EUの執行機関であるEU委員会がすでに調査を始めていて、TikTokが選挙結果に影響を与えるリスクを放置するなどEUの「デジタルサービス法」(注)に違反していないかが焦点となっている。仮に違反が認められた場合は、巨額の制裁金やEU圏内でのサービスが停止される可能性がある。

(注)EUの「デジタルサービス法」
インターネット上のサービスでユーザーの安全性を確保するため、SNSやプラットフォームの事業者などに、有害情報対策を義務付けている。