2025年日本経済の見通し カギは「投資」と「消費」

日本経済の2025年の課題をフリップにまとめてもらった。「『トランプ2.0』『中国低迷』で輸出は期待できず」「消費は国内消費が伸びるか」そして「企業利益に見合う設備投資ができるか」。
――海外経済は不透明要因が多い。今年は国内で頑張らないとということか。
ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
端的に言うと、トランプ氏がどうなるかわからない。人のことではなくて、自分の中の消費と投資で頑張りましょうというのが、今年のテーマ。

GDPの半分以上が個人消費。ところが消費は低迷している。2024年11月の家計調査を見ると、2人以上の世帯が消費に使った金額が、実質で0.4%減少した。マイナスは4か月連続で続いている。
――マクロの統計を見ると、富裕層の消費が活発ということもあり悪くないが、ミクロで見ると、消費支出はほとんど2年間ずっとマイナス。

名目賃金は上がっているが、物価が高いので実質賃金がマイナスのまま。2024年のニッセイ基礎研究所の予想では、2024年の最終期10-12月期はプラスに転じると予想されていたが、マイナスのままだった。予測では2025年夏、7-9期ぐらいになればプラスになるだろうとしている。
――予想より、3四半期後ずれているということか。
ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
予想が外れている理由はすごく単純で、名目賃金の伸びは予想通りか予想より上回っていたが、それ以上に物価の上昇が止まらないことをなんとか抑えないと消費が弱いままだ。消費の中で起こり始めていることは、過去もずっと実質賃金がマイナスなので、消費が弱くなって、消費の中身が変わってきている。必需品をものすごい削り始めている。今、防衛という意味で正念場になっている。
――実質賃金がプラスにならないと消費が伸びない。消費が伸びなければ景気も良くならない。景気が良くならなければ物価上昇率2%目標も達成できない。だからこそ円安を修正しなければいけない。
ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
いま物価が上昇しているが、寄与度で見てみると、輸入から来るものが圧倒的に多くて、その部分をある程度抑えないと、物価自体が収まらない。為替の部分を何とかしなければならないという声が大きくなってきたのは事実だ。

――もう一つのポイント、設備投資は比較的堅調だという声も聞かれるが、どうか。
ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
2つ事実があって、1つは「名目」で見るとすごく伸びている。「設備投資」はこれからもガンガン伸びるのではないかという予測が立つ一方で、「実質」は設備投資の数がどれくらい出ているのか見ると、予測のところで、落ち始めている。
――機械の代金や、建設費・作業費などが高騰しているから、「名目」ベースも高騰しているということか。
ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
そうだ。ただ「実質」のところが落ちている理由が、今いろんなものが高いし、人手不足なので、計画を少し先送りしているだけだったらよいが、一部では「収益に見合わないのでやめる」というのも少しずつ出ていることは事実。設備投資の中で、強い部分と弱い部分が両方出ていると思う。
――いろんな現場で人手不足があって、発注しても設備がなかなかできないという事実もある。
ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
ここ20年、30年と日本は、供給制約に対して対応をしてこなかった。景気が良くなってきたときにその問題に直面し始めて、日本の成長のネックになり始めている。運送などいろんな業界で出始めている。
――設備投資が本当に伸びていくためには、なぜ「実質」で伸びてないのかという原因を因数分解して、きめ細かい対応をとっていくべきか。
ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
2つ重要で、ひとつは企業の方が設備投資をするということは10年、20年のお金を使う。将来的な拡大傾向という期待が大きくなっていないといけないので、国の政策が非常に重要だと思う。もう一つはその供給制約や人手不足に対して何ができるかというところを、業界とか個社でどう頑張れるかというところ。この2つの問題が起きている。

そういう中で、2025年の日本経済の成長率をどう見るか、ニッセイ基礎研究所の予測を出してもらった。
ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
日本の潜在成長率が0.7%ぐらいなので2025年~26年はそこを上回る成長を一応予想はしている。これがメインシナリオだが、今起こっている話は、そのメインシナリオの確率が非常に下がっている。
――2024年はほとんどゼロ成長だったが、成長を実現するためには「消費」と「設備」が伸びないといけないのか。
ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
そういうことだ。
(BS-TBS『Bizスクエア』 1月18日放送より)