今、日本経済で深刻な問題となっている人手不足による倒産と物価高は解消されるのか。
景気悪くないのに倒産増加 2025年日本経済 課題と展望

建設業界の深刻な人手不足を解消するため、2019年から人材マッチングサービスを展開する「助太刀」。

登録事業者数21万人のなかで、新しい取引先を見つけたい職人と、職人を集めたい工事会社をケータイアプリ上でマッチング。建設業界の救世主として注目されている。

コロナ禍が明けて、建設需要が回復した2023年頃からは職人不足に悩む工事会社の登録が急増したという。取引先から寄せられる声からは、厳しい現実が浮かび上がる。「人手不足で案件の取りこぼしがある」「ツテ中心の人探しではうまくいかず、仕事はあるのに受けられない…」

帝国データバンクによると、2024年の「人手不足倒産」は342件。2年連続で、過去最多だ。なかでも、建設業と物流の倒産が全体の半数近くに及ぶ。助太刀の北川CFOは倒産増加の背景に人件費や資材の上昇分を価格転嫁できない多くの中小・零細企業の存在を指摘する。

助太刀 取締役CFO 北川憲二郎氏:
世の中的には建設業界の職人さんの給料、労務費(人件費)は上がっているといわれているが、(助太刀に登録している)約7割の方の収入は変わっていない。そして25%の方はむしろ減ってしまった。どうしてもプロジェクトが始まって完工まで3年ぐらいかかる。この間に労務費(人件費)も建材費も上がり、発注者がそれを吸収できないと、どんどん下請けにしわ寄せがきてしまう。そういう意味では実際に(価格)転嫁できる業界や発注者に人が集まる。業種間の競争=人材の取り合いが(労務費の)単価の差でシビアに出てくるところが顕在化している。

人件費の上昇分を価格転嫁できる企業だけが生き残れる状況が進んでいる。そして物価高は2025年も続きそうだ。企業間で取引されるモノの価格を示す企業物価指数は2024年12月、対前年比で3.8%上昇し、4か月続けて過去最高となった。さらに追い打ちをかけそうな事態も…

このガソリンスタンドでは、1リットル175円で売っていたレギュラーガソリンを、今週180円に値上げした。給油客は「きのう来ればちょっと安かった。失敗した。忘れていた」「もう自転車に変えます。これじゃやっていけない」と話した。

政府は1月16日、ガソリンの補助金を1リットル当たり5円縮小した。今後、平均価格は185円程度と過去最高の水準に迫る見通しだ。宅配便などの運送費やハウス栽培の野菜など様々なモノの値段が上がる可能性がある。

物価上昇率2%を大きく超える状況が続くなか、日銀の次なる利上げの有無に関心が高まっている。