日銀「利上げ議論し判断」円安に歯止めかかるか?

日銀の植田総裁は1月15日、次週の金融政策決定会合で利上げを行うか議論し、判断したいと述べた。その前の日には氷見野副総裁が「トランプ氏の政策については就任演説で方向性は示されるだろう」と述べた。
――利上げはどうなるか?

ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
1月は利上げすると思う。逆にやらなかったら、いつやるのという感じの情報発信の仕方だ。ここ数か月を見ると日銀は、急に強気になったり、弱気になったりを繰り返している。市場からすると「どうしてくれるの」という感じがすごくする。
――12月に利上げせずに、1月にする理由は?
ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
いくつか解釈があるが、去年利上げしたときに8月に株が暴落したことがトラウマなっている。自分たちが動いて市場が反応したらどうしようとなっていたのではないか。そういう意味ではみんなが「どうぞやりなさい」という雰囲気が出るまで待ちたいという防衛本能で、政治的にプレッシャーがかかると引くということが繰り返されたのではないか。

日銀が利上げに踏み切るだろうということで為替相場が大きく動いている。1ドル=158円前後だったが一時155円台まで円高に振れた。ただ12月は利上げをするのではと、140円台に入ったこともあった。それで結局利上げしないということになり、その間に158円まで円安が進んでしまった。
――結果的に、日銀が動かなかったことが円安を助長・誘導したと言えるか。
ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
本当はもっと進んでいたかもしれない。というのは、この過程でユーロが撃沈し始めたので円安の部分をユーロ安の部分で吸収してくれたので160円に行かなかった感じになっていたと思うが、12月はドタバタで為替を円安に振ってしまったのは、日銀がやったことではないかと思う。
――日本の今の政策で見た場合に、円安を容認したり、あるいは誘導・助長してしまうということは絶対やってはいけない政策ではないか。
ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
そう思う。円高か円安かどちらがいいみたいな議論を延々やっているが、一つ言えることは過度に動かすことは良くないと思う。過度にどっち側に動きやすいかというと、明らかに円安の方なので、日銀自体が円安のバイアスを急激に出すということは絶対得策ではないと思う。