「遠因死」発災約1か月後に旅立った赤ちゃん

廣畑帆乃香ちゃん(※「廣」は「まだれに黄」)は、両親の数年におよぶ不妊治療の末に、1995年1月11日に産声を上げるも、心臓に病気を抱えていた。6日後に阪神・淡路大震災が発生。

停電で人工呼吸器が一時停止した影響からか、病状が悪化し、2月24日に敗血症で亡くなった。父親が保育器の中に手を入れて、指を差し出すと、小さな手で優しく握り返したという。

両親は語る。
「緊急車両に乗せてもらい、なきがらを抱いて自宅に帰った時、まだ温かかったことを覚えています。天国に召された我が子が、短い間ではあっても、この世に存在していた証、生きていた証が欲しいと思いました。銘板の掲示が、ひとつの区切りになった気がします」