子育て中の女性に対する逆風は、繰り返し吹く。なぜそのようなことが起きるのか。その根底にある意識は何なのか。子どもを安心して育てられる社会を作るために必要なことは何か。東京大学大学院情報学環の藤田結子准教授による論考。

繰り返す「子持ち様」批判の背景

2024年、「子持ち様」論争がメディアで話題になった。そのきっかけはあるSNSの投稿。職場で子どもの高熱のために仕事を休んだ人を「子持ち様」と呼んで、その仕事を代わりにさせられている不満を訴えた。これがバズって、育児で休んだり早退したりする人への批判がSNSで噴出したのだ。

このような批判は、子育て世帯の減少や育休取得の増加、SNSの普及など、最近の社会状況だけが理由ではない。なぜならずっと前から、子育てする女性たちは批判を浴びてきたからだ。

その時々の批判はいずれ風化しても、時がたつとまた少しずつ形や言葉を変えて似たような批判が繰り返されてきた。日本では、なぜこのような論争が起き続けるのだろうか。どうすれば子育てしやすい社会になるのだろうか。