2025年ドル円相場は? アナリストが大胆予想

――そうした見立ての中で、2025年の予想を皆さんにしてもらう。今年の円相場はどうなるのか。

――株式市場の予想とは違ってだいぶばらつきが出てきた。やはり最後は円高になるという花生氏は、年末140円と予想。

バルタリサーチ 花生浩介氏:
アメリカの金利が今、高止まってるので、多分1月も利下げはやらないだろうし、そういう意味で足元、ドル金利高・ドル高はあると思うが、一方で日本について言えば、金融正常化に向けて徐々に利上げをしていくと思う。

だから日米金利差はやっぱり趨勢的に見て、縮小していくと。それからアメリカはまだわからないが、世界経済で見ると欧州経済は弱いし、中国も弱い。そういうことからすると、トランプ氏に対する期待感が今先行しているが、それに対して少し修正が起こるのかなと思っている。

――ドル高も進むけども世界的に見ると、円もそんなに弱いわけではない。

バルタリサーチ 花生浩介氏:
日銀に政策の余地はあると思う。

――それでも165円ぐらいまで覚悟した方がよいということか。

バルタリサーチ 花生浩介氏:
足元はFRBの利下げ停止、もしくは一部は本当に利上げ再開という話もある。これは期待というか予測先行だが、そこが今ある間は、ドル高という意味においては、継続する可能性はあると思う。

――同じく円高派と言われてきた瀬良氏。年末145円で、137円台の円高もあるのではないかという根拠は?

三井住友信託銀行 マーケット・ストラテジスト 瀬良礼子氏:
去年も8月に、エアポケットに落ちるような形で株安・円高があったが、今年に関してもアメリカ景気後退リスクが一時的に出てくる可能性が十分あるのではないかと見ている。140円割れということになれば、瞬間的に137円ぐらいまで円高が進む可能性というのは十分あるのではないか。

――為替相場も上下の変動が激しい。一方「いやいや、もうそんなふうにはならない、もう円安が定着」というのが植野氏と山田氏。植野氏は、年末159円と予想。この数字だと日本経済には厳しいのでは。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト 植野大作氏:
ただそうは言っても、アメリカ経済が減速すれども、失速せず。ソフトランディングに成功するのであれば、アメリカの政策金利が下がっても3%台ぐらい前だと思う。

一方でおそらく日銀は「金利は見通し通りであれば上げる」と言っているので、0.75%ぐらいまでは上げると思う。それだとまだ実質金利は、アメリカがプラスで、日本はマイナスという、2024年と全く同じ構図が続く。2024年は1.35%も金利差が縮んだのに、結果140円から157円で円安になったということを考えると、基本的な構図は2025年も変わらないのではないか。

――しかしこれだと電気代もガス代も下がりそうにない。山田氏はいつも新年の予想のときに円安の数字を出して、本当かなと思うが、終わってみると大体いつも一番近いところにいるというのはここ数年続いているが、年末160円という厳しい予想。

バンク・オブ・アメリカ 主席日本FXストラテジスト 山田修輔氏:
日本の構造円安、アメリカのテクノロジー覇権という構造的にドル円が上がりやすい。その中で日米の政策がどうなるかというと、2025年考えると日本の方は少数与党で、おそらく政策を大胆に変えることはできない。

一方アメリカは、いろんな見方があるが、注目しているのがトランプ政権。トランプ氏というものがメインストリーム化したことは重要だ。第一次政権のときは得票数では過半数を下回って、今回2回目勝って、得票数でも過半数を上回っている。ということはもうメインストリーム化している。そうすると政権に入る人材のクオリティが高くなっている可能性はあると思う。第一次トランプ政権に入ることで評判が落ちると考えた方はいると思うが、今回は例えばイーロン・マスク氏であったり、財務長官のスコット・ベンセント氏。テクノロジーや金融業界から錚々たるメンバーが入ってきている。どちらかというと、ドルの基軸通貨としての地位や財政規律を重んじる人も結構入ってきている。そう考えるとやっぱりアメリカへの資本の集中が続くのではないか。