交渉「決裂」のワケ「今度はこちらが攻めるフェーズ」

自民党関係者は「決裂」のワケをこう語る。
(自民党関係者)「合意文書に署名したのは補正予算に賛成してもらうためにこちらが折れるフェーズだったから。補正予算が成立したので今度はこちら側が攻めるフェーズだということ。合意した178万円もガソリン税の暫定税率撤廃、どちらも盛り込んだら財源がなくなってしまう」
政党間の合意文書といえば先の通常国会でのあの一件が思い出される。今年の通常国会で自民党は、維新との旧文通費改革について、党首同士が合意し署名していた。維新はこの合意文書をもって、他の野党が反対を投じることが予想された政治資金規制法の改正案に衆議院で賛成したのだ。
しかし、自民党側は“合意文書で期限については言及しておらず議論は前に進めている。通常国会だけでは時間が足りない”と維新が前国会中に求めていた旧文通費改革は実現せず。維新は「約束を反故にされた」と衆議院で賛成した政治資金規正法の改正案に参議院で反対したのだ。維新にとっては自民に振り回された国会対応となり、他の野党からも不興を買った苦々しい出来事だ。つまり、文言が詰め切れていない合意文書は最終的にどういう結末を迎えるかは極めて不透明なのである。そこを計算ずくで自民党は利用するきらいがある。
前出の自民党関係者は成果が欲しい野党の足元を見ながら合意文書を巧みに利用すればいいと語る。
(自民党関係者)「与党過半数割れの状況下なので、うまく“合意文書”を使いながら野党の賛成を勝ち取っていくしかない。今後も同じ戦法で国会を乗り切っていくのだろう」
まさに少数与党ながらなかなかにしたたかな自民党なのだが、旧文通費はこの臨時国会で法案が通過し、維新の悲願はなんとかようやく実現する。一方でいったんは幹事長同士の合意文書が反故にされた形の国民民主党は果たして壁を突破できるのか…