少数与党の中でキャスティングボートを奪い合う維新と国民

12月20日に示された、税制改正大綱。103万円の壁の引き上げについては与党側が示した「123万円」への引き上げが明記される形となった。国民民主党は不十分で幹事長合意を反故にされたと批判的だったが、ここにきて3党の幹事長会談がもたれ、協議を続けることを確認、金額についてさらに修正をせまる考えだ。

一方、維新側が求めた教育無償化については予算編成大綱には“教育無償化を求める声があることも念頭に”と記されるのにとどまり、具体的な内容や金額などへの踏み込みはなされなかった。党内には「こんな文言ではゼロ回答に等しい」と批判する声もあるが、青柳政調会長は「教育無償化を求める声があるということをはっきりと書いていただいた。今回の予算大綱に現時点で書き込めるギリギリの表現で入れていただいた」と成果を強調する。

一方で与党にとっては“どの党であっても予算や重要法案に賛成してくれればいい”というのが本音だろう。

(自民党関係者)「103万円の壁を178万円に引き上げるよりも、維新が主張する所得制限なしの高校無償化の方が財政的に安上がりで、維新と握る方が“お得”ではないのか?という声はある。とはいえ、維新は衆参で態度を覆した過去があり100%信じることは難しい。ここはどこかに絞り込まず、野党に競わせればいい。最後に一番いいところと手を結ぶという形が与党としては理想的だろう」

少数与党で国会の景色が変わる中でキャスティングボートを奪い合う維新と国民。政策実現という名の成果をめぐり両党が火花を散らす中、野党第1党の立憲民主党は打ち出しにおいてやや埋没気味だ。そんな中で苦しい政権運営と言いつつも意外にもうまく立ち回っているのは老獪な自民党なのかもしれない。果たしてそれでいいのだろうか…

MBS報道情報局 東京報道部 尾藤貴裕
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