「自然が最高すぎて」移住の決め手は“子育てのしやすさ”

 福井市に隣接する、人口約1万8000人の永平寺町は、自然豊かで都心にも近いことから移住者が急増しています。鎌倉時代に開かれた禅の修行道場・永平寺の門前町です。

 この町で酒店を営む勝山詩麻さん(26)は、大阪市西区出身で、2年前、夫婦で大阪から福井に移住してきました。

8.jpg

 週末は酒店に併設したカフェで、地元でとれた新鮮な野菜や米を使った「薬膳カレー」のランチプレートを提供しています。福井の食材を使った大阪仕込みのスパイスカレーを楽しみに、遠くから来店する客も多いといいます。

 (客)「本格的な味で、あえ物とかも含めて和の味が入ってたりして、それがまた日本人が食べやすい味になっていてすごくおいしいです」

10.jpg

 もともと大阪の飲食店で働いていた勝山さん。コロナ禍で店が営業できなくなり、移住を考えるようになりました。

 (勝山詩麻さん)「趣味だったり、好きなことを探したいなと思っていて、『そういえば農業したいな』ってふと思って、野菜をちょっと育ててみたところすごくハマってしまった」

 夫の出身地で何度も訪れたことがある福井県で、農業の求人を探し移住。長男の妊娠が分かったタイミングで、夫の実家がある永平寺町に引っ越してきました。

 (勝山詩麻さん)「(両親からは)産むんやったら大阪で産みなさいと言われてたんですけど、福井県の環境とか自然が最高すぎて」

14.jpg

 福井県で暮らし続ける決め手となったのが「子育てのしやすさ」でした。県は人口減少対策として、子どもの医療費の無償化や、子どもが2人以上いる世帯の高校授業料の無償化など、子育て支援の強化を打ち出しています。

 (福井県・定住交流課 三津谷勇気主任)「福井県は『親超優遇ふく育県』というような形で、非常に子育てがしやすい、経済的にも楽な県であるということで、都市部を中心にPRをさせていただいています。非常に子育てにお金がかからない環境にあると考えています」

15.jpg

 住環境の良さに加え、こうした県の取り組みが功を奏し、福井県への移住者の数は右肩上がりです。4年連続(2020年度~2023年度)で1000人を超え、この10年(2014年度~2023年度)で4倍になりました。

 さらに今年3月に県内まで延伸し、今後大阪まで伸びる予定の北陸新幹線も、移住者増加の要因の1つとみられています。

 (福井県・定住交流課 三津谷勇気主任)「これから大阪に延伸するにあたり、今、北陸3県が連携して、大阪に『北陸プラス』という情報発信の拠点を設けています。特に関西から、さらに人を呼び込んでいきたいと考えています」