最大勢力は「住まない人たち」

牧野: 2番目のカテゴリーが一番大きな勢力になったんですけれども、「国内外の投資家」です。

comugi: 内外ということは海外からもということですね。

牧野: よく中国の方がたくさんマンションを買っているという報道がありますが、アジアの国って、日本の「失われた30年」の間にどんどん経済成長したんですね。

そうすると日本の不動産を自分の資産ポートフォリオの中に一部取り込んでおこうということで、日本の不動産を狙いました。

日本だけがずっと低金利の一人旅をやっていたんで、結果何が起こったかっていうと、円安になってしまった。

ちなみに、北京とか上海って、普通の一般庶民のマンションでも大体3億円ぐらいします。

そうすると、彼らにとっては日本の不動産というのは、大バーゲンセールをやってるように見えるんです。

comugi: 3つ目はなんでしょう?

牧野:「高齢化したお金持ち」です。この層は何が心配かっていうと、自分が亡くなった後の相続なんです。

comugi: 子どもにお金をどうやって渡すのか、ということですね。

牧野: 日本はほぼ世界一の相続税率になっていて、お金をある程度以上持ってしまうと、相続税率の最高税率が55%、半分以上取られちゃうんです。

ただし、税制改正前の状態ですと、たとえば1億円で買ったマンションの評価が3000万円ぐらいになっちゃうんです。つまり7割ぐらい価値が圧縮できちゃうんです。

comugi: どういうことですか。

牧野: からくりはですね、相続税の不動産の評価って土地は路線価。建物は固定資産税評価額というのが基本なんですが、マンションって土地の持ち分は大体3、4坪です。

comugi: 小さいですね。

牧野: 建物は、たとえば25坪とか20坪といったような形で評価されますね。そうするともともと路線価って公示地価の7割ぐらいとか8割ぐらいになっています。

一方、建物というのをどんどん償却していきますんで、固定資産税評価はもちろん時価よりも安いと。そうすると、時価はどんどん上がるのに、評価額はうんと低くなります。

そうすると1億円の現金を持っているとこれに税率がかかっちゃいますけれども、1億円をマンションにしておくと、3000万円以下になっちゃうと。

マンションを買うことはスーパー節税手段だったんです。

comugi: 住むという消費の話というよりは、資産運用に近いんですね。

牧野: そうですね。そういった意味では、武蔵小杉は割と実際に住んでる人多いんですけれども、都心部の湾岸のタワーマンションとかになるとですね、こういう節税のために買っているんであんまり住んでないですね。