静岡陸上界の“黄金世代”
オリンピックでは、東京、パリの2大会連続で入賞、世界陸上でも2大会連続メダリストとなった世界でも指折りの“ウォーカー”川野将虎選手も駿河路とは縁がある。中学時代、卓球部だった川野選手は「駅伝がやりたい」と高校入学後、陸上の道へへと進む。
御殿場南高時代、競歩選手として脚光を浴びる中、第16回大会(2015年)に小山町チームの一員としてエントリー。出走の機会はなかったものの、いまも「小山町代表・川野将虎」として記録されている。
伊藤選手や川野選手をはじめ、静岡陸上界の“黄金世代”といえるのが、1997年度、1998年度生まれ。2024年のベルリンマラソンで、男子日本歴代2位を記録した池田燿平選手(島田市)もこの世代。もちろん、市町対抗駅伝に出場している。
黄金世代の代表格と言えるのが、東京オリンピック™10,000メートル代表・太田智樹選手(トヨタ自動車)だ。しずおか市町対抗駅伝には、中学2年生から出場、計5回の出場で2度の区間新記録を打ち立てた。

中学時代からどちらかといえば物静か、冷静な走りのイメージの強い太田選手だが、市町対抗駅伝には、並々ならぬ思いがあるという。
「当時、すごい楽しみにしていた。幼い時にテレビで見ていた人と襷を繋ぎ、一緒の駅伝に走れていることに対して、すごくワクワクした」
今でもこの季節になると、市町駅伝の結果が気になるという太田選手。現在はトヨタ自動車の選手として、ニューイヤー駅伝に向けた調整時期のため、駿河路を走ることは叶わないが「また、出てみたい。40歳になってからですかね」と笑う。
ちなみに、昨シーズン限りで現役引退した太田選手の元同僚・大石港与さんは、富士市代表として、第6回大会(2005年)以来のエントリーを果たした。
駿河路を憧れた子どもたちが、駿河路を駆け抜け、そして、世界へと飛び出していく。四半世紀続いた駅伝には、そんな夢が詰まっている。