何度も2階に上がったのは “目薬さしてあげたり、バスローブを探しに…”

須藤被告のスマートフォンに入っていたアプリ「ヘルスケア」の解析によれば、午後6時半頃から午後8時頃までの間に、7回もの「階層上昇」が確認されている。1階と2階との間の移動を繰り返していたとみられているが、被告はまず、午後6時50分頃の階層上昇について、“2階で野﨑さんに目薬をさしてあげた”と説明した。
そして、その後1階に下りてシャワーを浴びようとしたが、バスローブがなかったため、それを探しに再び2階に上がったとも述べた。
その他の階層上昇について問われると、“ハンドクリームなど保湿ケア用品を取りに行ったり、タブレットや充電ケーブルを取りに行ったりした可能性が高いと思う”という旨を供述した。
この「多数回の階層上昇」については、被告の記憶があいまいで、それまでの供述と比べると、やや具体性を欠いている印象は受けた。
午後8時すぎに家政婦のTさんが帰宅した後は、被告はTさんと1階でテレビを見て過ごし、午後10時半すぎに“野﨑さんが死亡しているのを覚知”するに至ったという…。
家政婦のTさんが捜査の中で供述した、2階から聞こえてきた“音”については、こう語った。
被告 「8時半ぐらいに、ドンドンドンと2階で社長(野﨑さん)が歩く音が聞こえました」
弁護人「足音だと思ったのはどうして?」
被告 「社長はつっかかって歩くから、社長が歩くと、社長のリズムでドンドンドンドンと音がするのが普通」
「夜に音がするのは日常茶飯事なので、トイレ行っているんだなと思いました」
事件性自体が争点 注目される検察側の尋問
被告人質問1日目は、時間を超過し午後5時20分頃に終了。次回11月11日(月)の被告人質問も、再び弁護人の尋問から行われることになった。事件性そのものが争点となっている中、今度は検察官が、被告の主張の矛盾をどのように突いていくのかが注目される。
(MBS報道センター 松本陸・大里奈々)