アプローチの面白さが際立つ柳楽優弥さんの芝居

――本作で洸人を演じる柳楽さんの魅力はどんなところでしょうか?
洸人をキャスティングするときに真面目で受け身な洸人をどなたが演じたら素敵か考えていたのですが、普段の役のイメージと意外性のあるアプローチも面白いのかもと思ったんです。そこで、柳楽さんの名前を挙げました。個性が強い役が多い印象があったのですが、映画『さかなのこ』で演じられていた不良なのに心の優しさが溢れる、温かさのあるお芝居がすごくかわいらしく見えて。その雰囲気がストレートに美路人との掛け合いでも表現できるに違いないと考え、洸人役をお願いしました。
――実際に撮影が進むなかで、柳楽さんと坂東さんの掛け合いは想像していたものと一致していますか?
いい意味で一致していないです。洸人は真面目で受け身な人だから、ある程度「こういうアプローチなのかな」と想像しましたが、私の想像の範囲が狭かったです。やっぱり柳楽さんの味があって。想像を超えた言い回しや雰囲気が出てくるんです。「なるほど!こういうアプローチも洸人だ」という面白さがあってとても素敵な<柳楽さんの洸人>になっていると思います。
――柳楽さんと坂東さんのインタビューで、<愛の掛け違い>という言葉が出てきたのですが、これはドラマのキーワードになるのでしょうか?
この物語をひと言で表すとどういう表現になるだろうという話が出て、本打ち(脚本打ち合わせ)のなかで出てきたのが<愛の掛け違い>。それぞれへの思いや執着がちょっと形を変えると怖い方向にも行くし、それがすごく愛情深い、温かい方向にも行くよねと話が広がっていったんです。そんな経緯から、このドラマはいろいろな愛の掛け違いが生んだサスペンスなのかもしれないという意識が生まれ、顔合わせのときに泉正英監督が「このドラマのテーマは<愛の掛け違いです>」と言ったんです。そのフレーズがキャストの皆様にしっくりきたようで、みんなで使っています(笑)。