さまざまなつながりを経て、自閉スペクトラム症を学ぶ

――準備期間で印象的だった出来事はありますか?

本田教授や辻井教授からも話を聞いて、現代はとても療育が進んでいることも知りました。そこで、「今の映し方をしてほしい」という助言をいただき、これまでの映像作品のイメージより、現代の自閉スペクトラム症のリアルを切り取ることを意識しました。美路人くらいの年齢の方々は当たり前のようにスマートフォンを持っており、ご家族とスマートフォンで連絡を取り合っている様子や中身まで見せて頂きました。洸人と美路人がスケジュールを共有する描写があるのですが、そういうところはすごく参考にしています。

――美路人を演じる坂東さんもさくらんぼ教室に行かれたということですが、その経験が反映されていますか?

はい、すごく反映されていると思います。坂東さんとご一緒するのは本作が3作目で、彼が勉強熱心で探求心のある役者さんだと知っていましたし、今回も実際に教室へ見学した方がいいと思いお声がけしたら、スケジュールが許す限り行きたいと返信をもらい、何度も一緒に行きました。どう美路人という人物像を作っていくか、坂東さんとスタッフ陣でコミュニケーションをたくさん取りました。