PTSDに苦しむ「ドローンパイロット」

ドローン戦争が、壊してゆく「人の心」。それは、ドローンを「操縦する側」にも及んでいます。

アメリカ北部に位置する、山あいの街。この街で一人の退役軍人と会うことができました。

ブレンダン・ブライアントさん(38)は、生まれ故郷である、この街に戻り、ひとりで暮らしていると言います。

「私は、善良なヒーローのような人間になりたかったのに、人を傷つける側の人間になっていました。その折り合いをつけるのが、本当に難しかったです。それが、PTSDの原因でした」

ブライアントさんは、19歳でアメリカ空軍に入隊。4年半、ドローンの操縦を担当して、心の病「PTSD」になったのです。

アメリカの基地から、ドローンを遠隔操作。1万キロ離れた、イラクやアフガニスタンの人物を監視。命令があれば攻撃する。それが、彼の仕事でした。

「人が座るところは、この程度の幅です。スロットルレバーとジョイスティックがあって、ここにキーボードもありました。そしてモニターが、ここと、ここと、ここと、ここと、ここ、ここと、ここと、ここにありました」

モニターに映し出されるのは、ドローンが捉えた、遠い中東の映像。そんな中…

「アフガニスタンの山岳地帯で、3人組の男性が歩いていました。すると、『武器を持っている。我々に敵対している』との理由で、攻撃するよう命令されたのです」

命令通り、ブライアントさんはミサイルを発射。2人は即死のようでしたが、一人は、まだ息がありました。

「彼の右足は吹き飛び、彼は足を押さえて転がり回っていました。上官が目をそらすなというので、彼の血があたりに広がり、地面や岩と見分けがつかなくなっていくのを、ただじっと見ていました」

モニター越しに人の命を奪う。
それは、テレビゲームと変わらない虚構の世界にしか思えませんでした。

「戦争で戦っているのに仕事が終わると、ビールとチキンを食べに行くんです。そのままストリップクラブに行く同僚もいました。おかしなことしてますよね」