■兵舎に閉じ込められ…"大本営発表の嘘を隠す工作"


その後、ウソを隠すためにある工作が行なわれた。そんな証言をする人がいます。
                  
空母「赤城」に乗っていた須藤文彦さんです。
ミッドウェー海戦の後、10日以上かけて鹿児島湾に到着。そこで行き先も言われず、トラックに乗せられます。

「赤城」元乗組員 須藤 文彦さん(101)
「トラックに乗ったら黒幕。真っ黒い幕で、ぐるっと(トラックを)囲ってしまいました」

人目に触れないよう、暗幕で覆われたトラックで連れていかれたのは「鹿屋海軍航空隊本部」。

そこで“ある命令”が下されます。

“この兵舎より命令があるまで絶対に出てはいけない”

ぼろぼろの軍服で、1週間以上閉じ込められたのです。
                            
「赤城」元乗組員 須藤 文彦さん(101)
「人と会わせないでね。「なんでなんだこの野郎」そういう感情に、久しぶりに。『何言ってんだこの野郎』と」

命をかけた戦いが“恥”であったかのような扱い。その怒りでした。
               
「赤城」元乗組員 須藤 文彦さん(101)
「これがね。うちの家内に、出した手紙です」

ミッドウェー海戦から1か月後。妻に宛てた手紙には・・・
“俺は元気”とだけ。大敗した事は一切、書けませんでした。


加賀に乗っていた山口さんも、ケガの治療で1か月以上病院に留め置かれました。
                      
「加賀」元乗組員 山口三次さん(100)
「ミッドウェー海戦では、大型空母1隻大破(喪失)あとは健在という。ウソの放送しとったらしかですね」

ーーウソの発表をどう思いましたか?

「加賀」元乗組員 山口三次さん(100)
「聞いた時は、一緒に死んでいった戦友のことしか思わなかったです。加賀の同期生ら1000人ばかりを思ってですね、もう話されんです」

大本営発表のウソ。海に沈んだ兵士たちは、どんな思いで聞いていたのでしょうか?