■最後尾の人物が銃を…決定的な瞬間が防犯カメラに

男性たちは、検問所近くの建物に、一晩中、身を潜めます。アンドリー・ドボルニコフさんは、翌朝、妻に電話をかけていました。

アンドリー・ドボルニコフさんの妻:
「彼は私に電話をくれました。“荷物をまとめて”“状況が緊迫しているから、携帯の写真をすべて削除して”“君を愛しているよ”それが最後の言葉でした」

男性たちはロシア軍に見つかり、捕らえられます。

決定的な瞬間を、当時あった防犯カメラが捉えていました。そこには・・・

私たちが入手した映像。男性たちが、手を頭の上にのせ、前の人の腰のあたりをつかみ、一列になって連行されています。

最後尾の人物は、銃を構えています。

男性たちは、銃を突き付けられ、近くの駐車場の方へと連行されていきました。その時の様子を、近所の住民が撮影していました。

撮影した女性:
「戦車が来て、その後ろを兵士が歩いているでしょ。カーテンのすき間から出るのが怖くて・・・」
「ロシア軍は、彼らにライフルを向けながらここに連れてきて、ひざまずくようにさせたんです」

映像には、男性たちが連行され、ひざまずかされる様子、そしてロシア軍を示す「V」の文字も。

この後、男性たちは、最後に遺体で見つかった場所へさらに連れて行かれます。

そこで何が起きていたのか。それを知る人が・・・。連行された中の、この男性。奇跡的に生き延びていたのです。

私たちはその男性を探し出し、会うことが出来ました。

イワン・スキーバさん、43歳。
事件の後、ウクライナを逃れ、現在はポーランドで生活しています
当時の体験を、生々しく証言しました。

■「ロシア軍は何も言わず、立つように命令し、殺した」

スキーバさん:
「私たちは、頭を下げたうえで、ひざまずかされました。こんな感じです」

男性たちは、「お前らは何者だ」「なぜ隠れていたんだ」と厳しく尋問されます。

そして突然、スキーバさんの隣にいた男性が射殺されたのです。

スキーバさん:
「ロシア軍は何も言いませんでした。彼に立つように命令し、彼を殺したんです。“自分たちは本気だ”ということを示し、残った我々を脅すためです。自分も殺される。覚悟しました」