ウクライナの首都キーウ近郊の街ブチャ。ロシア軍が撤退した今年4月、街の至る所で市民の遺体が見つかった。今も「市民虐殺などやっていない」と言い続けるロシア。しかしロシアが虐殺に関わったことを示す決定的映像、そして虐殺の現場から奇跡的に生還を果たした男性の証言が、ロシア最大の嘘をあぶり出す。
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4月上旬、ウクライナの首都キーウ近郊の街ブチャ。至る所で、市民の遺体が見つかりました。「市民虐殺」と報じられると、ロシア側は・・。
ロシア・ラブロフ外相:「ブチャでフェイクニュースが作られました」
プーチン大統領も…

「フェイク!」
「遺体はウクライナ側が置いた」もので、「虐殺はフェイク」だと主張しているのです。
■遺体現場には銃痕 家族の慟哭
私たちは今回、ブチャに入り、真相を追いました。

ヤブランスカ144という通りにある建物。この敷地でも、多くの男性の遺体が見つかったといいます。

増尾記者:
「男性たちの遺体はこちらのスペースで見つかりました。今もこうして銃が撃ち込まれた跡が、生々しく残されているんです。ここで見つかった遺体は顔を殴られたり、目がえぐり取られていたりと、拷問された様子があったということです」

花が手向けられた現場には、ここで亡くなった8人の遺影が。いずれもブチャで暮らす、ごく普通の市民でした

そのうちの1人、スビャトスラフ・トゥロフスキーさん、35歳。

私たちはトゥロフスキーさんの実家を訪ねました。父親は毎日、祭壇の前に来て、息子の写真を眺めると言います。
トゥロフスキーさんの父:
「毎朝、彼の写真にキスをします。しかし写真は写真にすぎません。生きている息子を抱きしめたいのに」
幼い頃から、明るく元気だった息子。印刷工として、まじめに働いていました。トゥロフスキーさんの部屋は、今もそのままです。

トゥロフスキーさんの父:
この部屋に入ると、息子が笑顔で、「やあ!」と挨拶をしてくれる気がします・・・
なぜ彼のような、ごく普通の市民が、虐殺されたのでしょう。
トゥロフスキーさんたちはボランティアの市民で構成される領土防衛隊に入り、検問所を通る人のIDをチェックするなどしていました。
そこにロシア軍が、侵攻して来たのです。