避難所にいると視線を浴びて苦しい
石尾さんの友人である中田明さん(35)は、保育園から高校までいじめられ続けてひきこもりになりました。当時、家族にどんな影響があったか話しました。
中田明さん
「ひきこもってると昼夜逆転しますわ。夜中に電気ついとると近所の人たちが『そこん家の電気、夜もずっとついとるね』って、井戸端会議でやるんですよ。そうすると、今度おばあちゃんが井戸端会議で居心地悪くなっちゃって、家に帰ってきて『言われとるんやけど、なんとかならんか』って、ひきこもりの僕と親を責めるんです。それで、親は『この子頑張っとるから言わんといて』って、そこでぶつかって、さらに居心地が悪くなり…」
石尾さんも「やっぱり石川県の田舎って、考え方がすごく封建的なところなんですよ。だから結構そういう空気で苦しめられた部分っていうのは、もしかしたら他のところよりも強いかなって思います」と話していました。
そして中田さんは白山市の自宅で地震に遭いました。避難所でこんな体験をします。
中田明さん
「『避難所は体育館の2階です』って言われるんですよ。津波が来るかもしれないから。体育館の2階は、席が4方向から内側を向いているじゃないですか。視線を浴びるんですよ。椅子に座ったはいいけど、視線を浴びて苦しくてしょうがなくて。30分くらいでもう視線に耐えられず、勝手に車運転して家まで帰って、揺れながら自宅で正月を過ごしていましたよ」

3.11でも同じ問題が
東日本大震災の時も「逃げて」という呼びかけがあったにもかかわらず、家から避難しようとせずに津波に飲み込まれたひきこもりの人がいました。司会を務めたジャーナリストの池上正樹さんは「ひきこもりの人にとっては、そもそも自分の部屋にひきこもっていること自体が地域社会から避難しているということなので、避難先に安心・安全がなければ避難することは出来ない」と話します。
