北広島の生活困窮者向け宿泊施設に火をつけ、男女2人を殺害した罪などに問われている男の裁判員裁判で、札幌地裁は17日、無罪判決を言い渡しました。

【写真で見る】放火で2人殺害 当時の火災現場など

 生活困窮者向け宿泊施設に入所していた70歳の男の被告は2022年9月、施設に火を放ち、管理人ら2人を殺害したとして、放火と殺人の罪に問われていました。

法廷で判決を聞く被告の男(17日・スケッチ)

 裁判は、刑事責任能力の有無が争点で、検察側は「せん妄由来の思い込みはあっても、通報などを選ぶ余地はあり、放火の意思決定は人命軽視も甚だしい」として懲役30年を求刑。

法廷で判決を聞く被告の男(17日・スケッチ)

 一方、弁護側は、心神喪失状態で責任能力がなかったとして無罪を主張していました。

17日の法廷(札幌地裁)

 札幌地裁は17日の判決で「善悪に従って判断する能力や自身をコントロールする能力を失っていた疑いが残る」と指摘。心神喪失だったと認定し無罪を言い渡しました。

無罪判決を言い渡した札幌地裁の井戸俊一裁判長