ひきこもりの当事者が講師となり、その経験や気付きを伝えて参加者とともに学び合う「ひきこもり大学」というイベントが5月4日に東京都内で行われました。講師として、能登半島地震で被災した石川県在住の男性2人が登壇し、当事者やその家族、支援者ら50人以上が集まりました。

自分をいじめた同級生がいるかもしれない学校には避難できない

石尾大輔さん(43)は、小学校・中学校でいじめに遭い、高校で不登校に。大学に進学するも長年ひきこもりの状態が続き、なんとか外に出られるようになりました。現在は地元の珠洲を離れ、加賀のシェアハウスで生活しています。

石尾大輔さん
「後になって、僕に発達障害があることがわかったんです。僕の年代だと発達障害という概念そのものがなかったんですよね。だから『クラスで変な子、浮いた子』になっちゃって、結構いじめられましたね。僕にとっては、そういう変わっている自分っていうのが当たり前で、なんで否定されるんだろうと思いました。悪いことしてないのに、なんでそんなにいじめられるんだろうとかってすごく思いました。家族も周りの大人たちも対応に困っただろうなと思います」

そして石尾さんは地震があった当日、珠洲の自宅で家族とともに被災しました。自宅が半壊状態になり、体の悪い祖母と母を連れて避難したそうです。

石尾大輔さん
「避難はできたんですけど、避難所というと結構学校が多いんですよね。最低限の衣食住というのは学校行けばなんとかなるんですけど、僕自身が学校であまりいい思い出がないので、やっぱり行けませんでした。(――当時の同級生がいるかもしれないとか?)地震前から、知ってるヤツに会いたくないって気持ちはすごくありましたね。避難所に行くことと僕が家に残ることを天秤にかけた時、明らかに地元の学校に避難することの方が嫌だったんで。ある意味、学校のせいで人生めちゃくちゃになったんで、そのことに関してはすごく過敏になってますね」

その後、石尾さんは1週間、車上生活をしたそうです。同時に家族も避難所には入らず車の中で一緒に生活したということで、「自分のせいで迷惑をかけた」と話していました。

石尾大輔さん