温暖化で冬眠しないクマが増える?ドングリを山でまけば出没を防げる?

クマにまつわる、よくある疑問一つひとつについて、丁寧に回答しているWEBページがあります。書いたのは、秋田県の職員です。答えている質問の数は31個にのぼります。

Q&A全体のポイントは、以前の記事(文末の【関連記事】参照)でお伝えしましたが、ツキノワグマ・ヒグマの生息する全国各地にとって、一つひとつが参考になる内容です。

「正しく知って、正しい知識に基づいてきちんと対策すれば、無駄な衝突をせず暮らしていけると思う。ひとり一人に、正しい知識を身に着けてほしい」

そんな秋田県の思いに共感し、Q&Aのいくつかをご紹介します。(HBC北海道放送 幾島奈央、取材協力:秋田県自然保護課)

今回はウソ?ホント?クマに関するウワサ編です。


■温暖化の影響で雪の少ない年や暖かい冬が増えると、冬眠しないクマも増えるのでは?

雪の上に残されたヒグマの足跡(2022年12月・札幌市中央区)

 クマは寒いから・雪が降るから冬眠するのではありません。食べもののない季節をエネルギー消費を抑えて乗り切るために冬眠するのです。

雪の少ない年や気温の高い冬であっても、山の中には食べものがありませんので、クマが冬眠せず活動し続けることはないと考えられます。

ただし、冬も人の生活圏にある食べもの(生ごみ、コンポスト、枝に残ったカキなど)にありつくことができている限り、冬眠せずに起きていることができます。人の生活圏でクマに食べさせないことが重要です。


■秋田県にはツキノワグマとヒグマのハイブリッド個体がいると聞いたのですが?

自動撮影カメラに映ったツキノワグマ(画像提供:秋田県)

 いません。秋田県に生息しているのはツキノワグマです(日本で野生のヒグマが生息しているのは北海道のみです)。

過去に県内で飼育されていたヒグマが逃げ出した事故が発生していますが、逃げ出した個体はその場ですべて捕獲されています。

なお、ツキノワグマとヒグマは別種の動物であり、自然界で交配し繁殖する可能性は極めて低く、現在のところ県内でそうした個体が確認された事実はありません。