政治不信…でも、あきらめない

甲府に桜が咲き始めたころ、録画しておいた昔のドラマを観た。三谷幸喜脚本の「総理と呼ばないで」だ。最終回、田村正和演じる主人公の総理大臣は辞任会見で「みなさんに政治に対する不信感を与えてしまいました、ごめんなさい」としたうえで次のように演説した。

「みなさんどうか、あきらめないでほしい。希望をもってほしい。政治を見捨てないでほしい。そうすれば必ずやってきます、理想の政治社会が。そしてですね、その時子供たちは胸を張って、こう答えるのです。『大きくなったら総理大臣になりたい』と。一日も早くその日が来ることを祈って。さようなら。」

今、大きなランドセルを背負いながら桜の下を歩いていく子供たちの中に、胸を張ってそう答える子はいるのだろうか?政治はあきらめた人から順番に、一部の大きな声に存在をかき消されて、損をしていく。そして「多くの人があきらめる事」を望んでいる人もいるのではないか?

あきらめてはいけない。

〈執筆者略歴〉
芹沢 年延(せりざわ・としのぶ)
1981年1月 静岡県生まれ
2000年からのTBS報道局のC班(アルバイト)や制作会社勤務を経て
2005年からテレビ山梨・報道部
2015年より約2年半の制作部勤務を除き県政キャップを担当

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