「ネット掲示板の書き込み」きっかけ…疑心暗鬼は確信へ

2023年12月6日放送

続いて検察側の冒頭陳述が行われ、河野被告が凶行に至るまでの、数年間に渡る経緯が明らかにされていく。

被害者の岩田健一さんと河野被告が知り合ったのは約20年前。同じ職場で働いていたことがきっかけだった。当時、2人の間に目立ったトラブルは無かった。だが、事件が発生する4年ほど前から、その関係性に異変が生じ始める。

「2017年ごろ、ネット掲示板への書き込みなどがきっかけとなり、妄想型統合失調症を患うようになった。被害者の一人、岩田健一さんが、自身に対する電磁波攻撃に関与していると考え、責めるようになった」(検察側の冒頭陳述)

妄想型統合失調症の影響を強く受けた河野被告は、岩田健一さんに対する負の感情を募らせていくようになる。2019年には岩田健一さんを呼び出し、ネット掲示板への書き込みや電磁波攻撃を止めるよう「警告」している。

「2020年ごろからは、健一さんへの怒りをつのらせるようになった。電磁波攻撃のせいで生活ができなくなり『健一さんを殺して自殺しようか』と考えるようになった」

「電磁波攻撃」を受け、頭痛などの体調不良に悩まされていたという河野被告。仕事を続けることができなくなり、やがて退職。無職となった河野被告は、妻から離婚を告げられ、犯行の直前には、ひとり車上生活をしていた。所持金も底を突きかけていた。

岩田健一さんが「電磁波攻撃」に関与していると考え続けた河野被告。心の中に蓄積し続ける疑心暗鬼は、やがて確信へと変化していった。