目が合い「あ、おった、殺ろう」

事件当日となる、2021年10月13日の朝。河野被告は、生活をしていた車内でワンカップ酒を飲みながら、岩田健一さんを殺害することに考えをめぐらせた。しかし、離婚した妻との間に居る3人の子どもの将来を考え、犯行を決意するまでには至らなかった。よりを戻そうとの思いから元妻に電話をした。しかし繋がることはなかった。

日も沈み始めたころ、酔いからさめた河野被告は、再び岩田健一さんの様子が気になり始めた。車を出すと、岩田健一さんと両親の3人が暮らす家へと向かった。

「この時にはまだ殺すという結論は出ていなかった」
「岩田健一さんは家にいないと思っていたが、通りかかったら在宅だった。目が合った直後に隠れるのが見えた」

「あ、おった、殺ろうとなった」
「今しかない、今日しかないと思った」

後に行われた被告人質問の中で、河野被告は当時の心境を明かした。また、殺害は何年間も悩んだ末の結論だったと述べた。

河野被告は、車を岩田健一さんの家の近くに止めた。そして包丁を携え、玄関の前に立った。