「家族とつながれるこの場所を守りたい」

マフラーについていた首の骨と、あごの骨の一部。発見場所は、自宅からわずか200メートルだった。

木村さんインタビュー
「うちの父親もおそらく近くにいたと思うんだけど、12日の避難になるぎりぎりまで捜索してた消防団の何人かが声を聞いてるんですね。だから下手すると、父親はもしかすると生きていた可能性がある。てことになると汐凪ももしかしたらっていう思いが、見つかったことによって消えなくなっちゃったんですよ。あの事故にあって、助かる命が奪われてしまったっていう可能性もあるし」

救えたかもしれない、いのち。

自宅周辺は、中間貯蔵施設の敷地になっている。県内の除染作業で出た放射性物質を含む土や廃棄物を2045年まで保管。敷地は東京都の渋谷区とほぼ同じ広さだ。
国は、住民から土地の買い取りや借り上げを進めていたが、木村さんは、同じ地区で、ただ一人、応じていない。

「家族とつながれるこの場所を守りたい」
春には、菜の花を咲かせた。

木村さんインタビュー
「汐凪に『ここを忘れないで』って言われているような気もするしね。変な言い方かもしれないけどここでこう汐凪と遊んでいるような気持ちでこういうことやっているんで。って言いながらつらくなるけどね」

2月、汐凪さんが通っていた小学校が、13年ぶりに開放されることになった。当時の在校生が、私物を持ち帰るためだ。