相手が自分に求めていないことを重視する

筆者は2020年から主に未婚化という社会課題を解決するための研究会を毎月主宰している。研究会には全国14県から、結婚や地域への若者定着に関する課題解決を目指す事業者等が参加している。その中で、少なからず上がる話題の1つが、結婚希望者の「自分がこういう人物でないと結婚が難しい」という「自縄自縛的な思い込みの強さの壁」問題である。

しかし突き詰めると、これは個人のとらえ方の問題というよりも、急速に未婚化が進む日本における日本病ともいうべき国民的勘違い、といっていいのかもしれない。以下、データを用いて解説したい。

【女性は「家事育児を男性に求められている」という思い込み】

2021年に筆者が監修した「未婚化する日本」では、結婚希望者本人が相手に望まれていると考えている「結婚相手に求められている条件」(思い込み)と、そもそも論、相手が求めている「結婚相手に求めている条件」(実態)に乖離があるかどうかという、非常に興味深いアンケート調査結果を紹介した。

まずは女性の思い込みと実態の乖離から見てみよう。

アンケート調査結果からは、20~30代の未婚の女性はその半数が、結婚相手として男性から家事育児の能力を強く求められていると考えていることが浮き彫りとなっている。家事育児ができないと結婚できない、結婚が難しいと考えているだろう未婚女性が2人に1人は存在することになる。しかし、未婚男性側の回答をみると、マルチアンサーにも関わらず、結婚相手に求める条件の上位に家事育児の能力は全く入ってきていない。3割程度の選択割合の回答にも入ってこないため、令和時代の20~30代の男性は、その10人に7人以上が女性の家事育児能力をそこまで重要視していないことが示唆されている。その代わり、女性が思う以上にルッキズムであることが示唆されている。

最近ではSNS等で若い男性のおしゃれ(脱毛、メイク、ネイルなど)の発信が珍しくないこともあり、特に中年以上の男性から「若い女性のルッキズムが強いせいだ。男性に女性が色々求めすぎだから結婚できないんだ」といった「感想」が漏れ聞こえてくるが、実態としては男性の方がルッキズムであることが、次の「男性の思い込み編」結果からも明示されている。

【男性は「女性にステータスを求められている」という思い込み】

最多回答として「安定した仕事についている・安定した収入がある」ことを求められていると未婚男性の3人に1人以上が回答している。これは思い込みというより、実際、女性側も3人に1人以上が「安定した仕事についている・安定した収入がある」と回答していることから、誤解はないといってよい。

しかし、ほぼ同割合が「年収が高い」を求められている条件として選択している。これについては女性側では上位回答に入ってきておらず、男性側の女性に経済的に求められていると考えていることと、女性が求めていることとの「レベル感のズレ」が明確に生じている。

ズレが目立つ回答として、「年収が高い」「容姿が良い(顔立ち、身長、スタイルなど)」があることから、男性は内面とは切り離した条件、いわゆる世間の体裁を女性が重視しているのだと決めつける傾向が強いことがうかがえる。言い方を変えるならば、「結婚できない理由は自身の内面にあるのではないか、と考えない」傾向とも見える。

経済力や容姿以上に女性が男性に「温厚・温和で穏やか、落ち着いている」「愛情深く、思いやりがある」といった「内面のあたたかさ条件」を強く求めていることに気がつくことができれば、より結婚に向けた活動が迷走しなくなるだろう。