「20%の余白」で仕事を面白くし、権限を奪いにいけ

では、現場の若手プレイヤーは今の組織でどう動けばいいのか。渡邉氏が推奨するのは「20%の余白」を自ら作り出すことだ。

「100時間働いているなら120時間にする。つまり20%の労力を新しいプロジェクトとしてアドオンするんです。そうすると、早くその面白い仕事がしたいから、既存のオペレーションを効率化させるので、実は残業はそんなに増えません」

この20%の時間を使って、「自分にしか見つけられない課題」を探しに行く。あるスノーボードメーカーの若手社員の事例では、言われた通りの作業ばかりで「ゼロFANS」の状態だったが、上司の許可を得てスキー場へ行き、滑っている人たちの不満を観察した。そこから新しい提案が生まれ、商売の主導権を握るおもしろさを知ったという。会社側も、全社横断の新規事業制度などを設けてこれを公認していくことが望ましい。

AI時代に生き残る組織のカタチ

時代は激変しており、組織そのものをAIに最適化させなければ勝てない時代が来ている。

激動の時代において、組織を率いる経営者や人事もまた、変わる必要がある。渡邉氏は最後に、データサイエンティストでありながらも、組織を変える最後のピースは「熱意」だと語った。

「一応データを使って理論っぽく見せるのですが、最後はパッションですね。もうそれ以外ない。大企業に入ってめちゃくちゃ優秀な人たちがどんどん静かになっていく現場を見てきた。彼らが持っているポテンシャルをなるべく爆発できるような社会にしたい」

「FIREしたい」と口にする若手の本音も、実は「仕事を面白くしたいだけ」であるケースが多い。20%の余白を作り、自ら動き、権限を奪いに行くこと。それこそが、「静かな退職」に抗い、キャリアを切り拓くための確かな一歩となるだろう。