変革期を生き抜くための課題
総じて、金利上昇とインフレの到来は、日本経済を「停滞の30年」から連れ出すために必要なプロセスであると言える。マイルドな物価上昇とそれに見合う金利・賃金の上昇は、経済の代謝を促し、健全な成長をもたらす。
しかし、その移行期においては、物価高に苦しむ社会的弱者や、住宅ローン負担に直面する現役世代、価格転嫁のできない中小企業への「きめ細やかなセーフティネット」が不可欠である。政府には、一律の給付金のような対症療法ではなく、労働流動性を高めるリスキリング支援や、中小企業の高付加価値化への構造改革を後押しする政策が求められる。また、家計の側も、国や企業に依存するだけでなく、自身のキャリアアップによる「賃上げ力の確保」と、資産運用による「インフレへの生活防衛」を能動的に行う、自立的な経済行動へのパラダイムシフトが求められている。
(※情報提供、記事執筆:第一ライフ資産運用経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト 永濱 利廣)