米証券取引委員会(SEC)は、データセンター所有者による資産担保証券(ABS)発行を容易にした。テクノロジー企業がAI支出の原資確保に奔走する中、金融市場では債券の発行がさらに増える可能性がある。

SECはデータセンター証券化の主要部分について、類似の取引で求められる情報開示や投資家保護措置は必要ないとの見解を示した。これには発行側に信用リスクの一部を残すリスク保有義務も含まれる。リスク保有義務は、ABSを発行する企業に債務の一部を保有させ、投資家との利害をより一致させるための要件だ。

SECのスタッフは先月下旬の書簡で、データセンターはローンやリースのように時間の経過とともに清算される金融資産ではないため、関連債券には自動車ローンや住宅ローンを裏付けとする証券と同じ規則は適用されないとの見解を示した。この書簡は、規則の明確化を求めていた法律事務所からの照会に回答する形で出された。

SECのスタッフが不要との見解を示した要件は、おおむね2008年の世界金融危機後、証券化市場の過熱から投資家を保護するため設けられたものだ。当時の市場の行き過ぎは最終的に、銀行システムを崩壊寸前に追い込んだ。

SECのガイダンスは正式な規則変更ではないものの、企業はこれまで予防的に規則を適用してきたため、実務上の影響は生じる。

データセンターとデジタルインフラの記録的な規模の建設が相次ぎ、それを賄うための債務が市場にあふれ、ウォール街はその受け皿の確保に苦慮している。ABSはAI関連債務市場の一角を占めるにすぎないが、ブルームバーグ・ニュースがまとめたデータによると、2020年に24億ドル(約3800億円)だった年間の新規発行額は、昨年に155億ドルへと拡大した。同データによれば、今年は過去最高を更新するペースとなっている。

トランプ政権は国内データセンター建設を積極的に後押ししてきた。トランプ大統領は昨年、規制緩和とデータセンター向けエネルギー供給の強化を通じ、米国でのAI開発を加速させる大統領令に署名した。

SECが今回見解を明確にしたことにより、ABS以外のデータセンター証券化も規則の適用対象外になるわけではない。例えばデータセンターを裏付けとする商業用不動産ローン担保証券(CMBS)は、担保が物理的な資産そのものではなくローンであるため、引き続き規則を順守しなければならない。

原題:SEC Exempts Data-Center Bonds From Key Securitization Rules(抜粋)

--取材協力:Charles E Williams.

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