2025年度のふるさと納税寄付総額は1.3兆円を超えた。ふるさと納税といえば返礼品の魅力が話題になりがちであり、昨今は自治体が仲介サイト事業者に支払う手数料にも注目が集まっているが、本制度は被災地自治体の支援においても大きな役割を果たしている。

主要なポータルサイトには災害支援を目的とした特設ページが設けられている。令和8年熊本地震の発生から1週間も経過していない時点で、同被災地支援を目的とした寄付額は既に7億3,000万円を超えた。災害支援目的の場合、多くの仲介サイトは自治体から手数料を徴収しない。そのため寄付金の全額が被災自治体の支援に活用されるが、一方でふるさと納税による被災自治体への寄付には課題もある。被災者支援、罹災証明書発行に向けた現地調査、ボランティアの受け入れなどで多忙を極める被災自治体に、寄付金受領に伴う大量の事務処理負担が生じてしまう点だ。

こうした課題を解消する仕組みとして存在する「代理寄付」をご存じだろうか。被災自治体に代わり、被災していない他の自治体が寄付を受け付け、後日寄付金を被災地に送金する仕組みである。これにより、被災自治体は煩雑な事務負担を負うことなく寄付を受領できる。この取り組みは平成28年(2016年)熊本地震をきっかけに始まり、10年の歴史を持つ。その後も数々の災害で運用され、十分に定着したと思われていたが、認知度はまだ不十分なようだ。今回の7億3,000万円に上る寄付のうち、代理寄付経由のものはわずか27%にとどまり、被災自治体への直接寄付が大半を占めている。

では、自治体への寄付ではなく、被災者に直接配分される「義援金」を送る場合はどうだろうか。被災自治体に設置された災害対策本部へ直接送る義援金もふるさと納税の控除対象となるが、災害救助法が適用された災害において、日本赤十字社や中央共同募金会などの信頼できる機関を通じて行う義援金募金も同様にふるさと納税(寄付金控除)の対象となる。こうした募金団体を経由する場合、「ワンストップ特例制度」は利用できないものの、振込依頼書等の控えを添付して確定申告を行えばよいため、被災自治体に領収書の発行・送付を求める必要がない。

このように、被災自治体そのものを支援する場合であっても、被災者に直接届く義援金を送る場合であっても、選択する手続方法によって被災自治体の事務負担は大きく異なる。これから寄付を行おうとする方々には、こうした仕組みがあることを知っていただいたうえで、「いかに被災地の負担を減らしながら想いを届けるか」という視点も持ち、支援の方法を選択していただきたい。

(※情報提供、記事執筆:ニッセイ基礎研究所 金融研究部 上席研究員・年金総合リサーチセンター・ジェロントロジー推進室・サステナビリティ投資推進室兼任 高岡 和佳子)